
イラストマップの作り方2
実際にお仕事でご依頼いただいたイラストマップの制作プロセスについて書いてみたいと思います。


目次
マップの目的とレイアウトを確認します
イラストマップのご依頼をしてくださったのはゴルフダイジェストの編集者さん。依頼内容はパタヤのストリートマップで特集記事の見開きイラストです。タイのリゾート地パタヤは知る人ぞ知るゴルフパラダイス。ゴルフを楽しんでパタヤの街も楽しみたい。そんな街の魅力を伝えるために、楽しく元気なイラストマップを描いて欲しいとのことでした。
編集者さんから誌面で使われるイラストのレイアウトとサイズが送られてきました。赤で囲われた部分がイラストマップです。見開きページに大きく入ります。地図の周りに記事や写真がレイアウトされる予定です。記事との兼ね合いやマップに入れたい要素についても細かく指示をいただきました。
サイズを決めます
ゴルフダイジェストの本の判型はB5判(182×257mm)です。今回は見開きページに入るので、(257×364mm)の中にイラストマップが入るような計算です。印刷物なのでカラーはCMYK、解像度は300ppiに設定しました。使用ソフトはクリップスタジオです。
Google Mapを配置してみます
パタヤビーチを検索して、スクリーンショットを撮り、参考画像として配置してみました。実際の地形はこんな感じなのですね。もしそのままトレースすると入れたい要素を全部収めるのは難しそうです。
クライアントの意図を読み取ってラフを描きます
イラストマップに入れたい情報と目的について、再度考えてみます。
①パタヤビーチの楽しそうな雰囲気が出したい
②パタヤの主要道路を分かりやすく伝えたい
上記の2点をクリアしたいと思います。
①については、パタヤを表現するモチーフやランドマークをイラストにして楽しい雰囲気にしました。
②に関しては、単純な地形、道路を描くことで位置関係が明確で分かりやすくなりました。ビーチ沿いに北から南に伸びるBEACH ROADと、陸側に並行に並ぶSECOND ROADを特に印象に残るように表現しました。またパタヤビーチのシンボルであるパタヤビーチサインは位置をGoogle Mapで確認して、目立つように入れてみました。
ラフの修正後、彩色データを納品します
クライアントさんにラフをご確認いただき、彩色データを提出しました。モチーフの大きさや記事との兼ね合いもあり当初のラフと比べると若干修正点はありましたが、地形や道路などはそのまま採用になっています。ラフでは本の「のど」の部分にイラストを配置していて、そこも修正しました。ソンテウ(乗合タクシー)や三輪タクシー(トゥクトゥク)などはタイの賑やかな雰囲気を出すのにぴったりですね。
実際の誌面に掲載させていただいたイラストマップです。
まとめです
イラストマップの描き方いかがだったでしょうか?今回のマップの役割は正確な情報を与えるというより、楽しい雰囲気や分かりやすい位置関係が読者に伝わればいいというスタンスで描かせていただきました。イラストマップの役割は媒体によって変わってきます。依頼ベースのお仕事はクライアントの意向をイラストに落とし込むことが重要になってきます。
難しいところではあるのですが、ラフの時点でのすり合わせ、コミュニケーション能力が試される所だと思います。
イラストマップの描き方1の方も参考になさってください。


イラスト映えBOOKという本を購入しました。特に構図について詳しく描かれていてイラストを描く上でヒントになると思います。